令和8年度税制改正大綱~少額減価償却資産の特例が「40万円未満」に?(飲食店・2店舗目出店の設備投資で注意)
相談:少額減価償却資産の見直し
私は飲食店を経営していて、いま1店舗を運営しています。物価高もあって厨房機器やレジ周りの値段が上がっているのですが、来期に2店舗目の出店を考えています。
与党の「令和8年度税制改正大綱」で、少額減価償却資産(いわゆる“30万円特例”)の見直しが入ると聞きました。
厨房機器(冷蔵庫、製氷機)、POSレジ周り、エアコンなど、30万円前後の備品が増えそうなので、どんな内容なのか教えてください。
回答
ご質問ありがとうございます。
台東区上野の会計事務所「クレア総合会計」の税理士の岩崎です。
税制改正の内容をきちんと読んで、今後の経営に活かされるのは大変すばらしいことです!ぜひ応援させてください。
さて、令和8年度税制改正大綱では、この特例について
- 対象となる取得価額の上限を 30万円未満 → 40万円未満 に引き上げ
- 適用期限を 3年間延長
する案が示されています。あわせて、常時使用する従業員数が400人を超える法人は対象外とする点も盛り込まれています。
(現行制度の概要と現行の期限は国税庁の説明が分かりやすいです。)
解説:
1.そもそも「少額減価償却資産の特例(30万円特例)」とは?
中小企業者等が、一定の期間内に取得して事業で使い始めた減価償却資産のうち、取得価額が30万円未満のものについて、要件を満たせば使い始めた年度に全額を損金算入できる制度です。
飲食店だと、例えばこんな“30万円前後”がよく出ます。
- コールドテーブル/冷蔵庫の一部グレード
- POSレジ一式(周辺機器込み)
- 小型の食洗機・製氷機の一部
- 店舗用エアコン(本体価格帯が近いケースも)
※なお、10万円未満で別枠の処理になるものや、一括償却資産の対象になるもの等はこの特例の「少額減価償却資産」から外れる扱いがあります(原文どおり)。
※さらに、年度内にこの特例で落とせる取得価額合計には上限(原則300万円)があります(原文どおり)。
2.令和8年度税制改正大綱での見直しポイント(案)
令和8年度税制改正大綱では、上の特例について次の見直しが示されています。
- 取得価額要件:30万円未満 → 40万円未満へ引上げ
- 適用期限:3年延長
- 従業員400人超の法人を対象外にする
- 所得税側も同様の措置を行う
という内容です。
3.2店舗目出店の「実務の注意点」(飲食店向け)
2店舗目は、厨房機器・空調・レジ周りの購入がまとまって出やすいので、次がポイントになります。
- 30万〜40万の“際どい価格帯”が増える(物価高の影響で起こりやすい)
- 「本体+付属品+設置費+送料」など、取得価額の判定単位で結果が変わりやすい
- 年300万円上限に当たりやすいので、購入時期の分散や優先順位付けが効いてくる
[参考]
- 国税庁 タックスアンサー「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
- 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
- 措法67の5、措令39の28 ほか
